salespromotion.jp SPを知る、学ぶ、実践する。
Home salespromotion.jpとは お問い合わせ
contents コンテンツ

サイトの目的
SPとは
SP最新事例
チャイナレポート
守口対談
SP効果分析
SP講座
SP理論研究
消費者行動講座
SP関連統計資料
SP関連法規制
SP用語集
リンク集
お問い合わせ

publishing 書籍紹介

  Home > SP理論研究 > 第三回

SP理論研究

第三回 「ロングテール」
ロングテールとは

最近、インターネットの世界を中心に「ロングテール」という言葉を盛んに目にするようになった。ロングテールの例として、よく取り上げられるのがAmazon.comであろう。
Amazon.comの全売り上げの約3分の1は、売り上げランキング13万位以下の本から構成されているという。13万タイトルというのは、バーンズ・アンド・ノーブル(米国の書店チェーン)の在庫数に匹敵する程のアイテム数であり、Amazon.comではそうした一般の書店には並ばないような書籍から大きな利益を上げているのである。このように、特定の商品に売り上げが集中するのではなく、多様な商品が少しずつ売れ、それが蓄積して売り上げ規模が大きくなるという現象が増加している。

そもそもロングテールとは、米Wired誌編集長のChris Andersonが提唱した言葉で、2004年秋の同誌に執筆したコラムをきっかけとして広まった。
上記のAmazon.comの例はまさにこのコラムで最初に語られたものである(注)。ロングテールはThe Long Tailと表記するが、その由来は、縦軸に販売額(Sales)を、横軸に商品(Products)を販売額の多い順に表した図にある(図:ロングテール参照)。
図の左に行くほど販売額が多い商品、つまり赤い部分がヒット商品群を表している。
一方、図の右に行くほど販売額が少ない商品群が連なる。
従来はコスト効率上の問題から、一部のヒット商品群のみの販売を追及し、販売額の少ない商品群は死筋商品として見られてきた。

図

図 ロングテール

しかし、この死筋の商品群が、図の右へと果てしなく長く続いたらどうなるだろうか。
ひとつひとつは小さな売り上げでも、膨大な数が集まり積み上げられれば、限られた数しかないヒット商品の売り上げを超えるのではないだろうか。
この図を恐竜に見立てると、ヒット商品群が恐竜の首(Head)、死筋商品群が恐竜の尾(Tail)となり、死筋商品群が長く連なるため長い尾に見える。これがロングテールと称される由縁だ。
そしてこのような現象から、「一部のヒット商品の販売額の合計よりも、それ以外(死筋)の商品群の販売額の合計が上回ること」をロングテールの法則と言う。しばしば、パレートの法則あるいは80:20の法則のアンチテーゼとして扱われている。

ロングテールに合う市場、合わない市場

ロングテールの法則が成立する条件は、「ロングテール部分を追求するのに在庫コストや流通コストがかからない(あるいは低い)」ということである。インターネット上におけるビジネスは、特にこの条件に当てはまりやすいが、もちろん、インターネットを活用しなくても、ロングテール追求分のコストを回収できる仕組みができれば成立する。とは言え、そうした仕組みを作ることは、現状ではITやインターネットを抜きにして考えるのは難しいだろう。そのため、あくまでインターネットとその技術革新によって支えられる考えであり、全ての業種、商品・サービスに当てはまるわけではない。
例えば菅谷(2006)によれば、ロングテールの法則が成立しない市場の条件として、@マスマーケティングの影響が強いこと、A特定商品、特定顧客への営業活動の集中、B商品、顧客数の少なさ、を挙げている。
以上から、ロングテールに合う市場の条件をまとめてみると、

・広告やプロモーションなどに大きな影響を受けない市場、つまりニッチ商品が多い市場
・クチコミが広がりやすい市場(クチコミには、ブログやネットコミュニティ上の書き込みも含む)
・顧客の好みやニーズが非常に多様であるため、商品の種類が膨大な市場
・品揃え、在庫、流通に関するコストが低い市場
などが考えられるだろう。

だからこそ、ロングテールの成功事例として、オンライン書籍や音楽配信サービスなどのデジタルコンテンツがよく取り上げられるのである。

ロングテールの法則において大切なこと

ロングテールの法則において、「ヒット商品の販売額の合計を、それ以外の商品の販売額の合計で上回る」という点は、実は重要なことではない。むしろ大切なのは、今まで効率上の問題から無視してきた市場に光を当てることが可能となったことである。つまり、ロングテールが成立する技術環境へと進化したことに伴い、潜在的な需要を発見することができ、ビジネスチャンスを見出すことにつながるのである。さらにいえば、企業自身がそれらの需要に目を向けるよう変化しなくてはいけないだろう。
ロングテールは技術革新とともにある考えであるため、その意味も日々刻々と変化する。したがって、最も重要なことは、こうした動きに関心を持ち、自社のビジネスとどう関係するのか、どう活用できるのかを考えておくことだろう。潜在市場に光を当てるロングテールの法則には、大きな可能性が秘められている。そういう意味では、全ての業種、商品・サービスにおいて注目すべきであろう。

(注)コラムでは初め、Amazon.comの売り上げの半分以上が、売り上げランキング13万位以下から構成されていると推定していた。しかし、その後この推定が誤りであることが分かり、「売り上げの3分の1」と訂正された。

参考文献
梅田望夫(2006)『ウェブ進化論――本当の大変化はこれから始まる』筑摩書房
菅谷義博(2006)『80対20の法則を覆すロングテールの法則』東洋経済新報社
勅使河原元(2005)「いかにしてロングテールをつかまえるか」
『NRIパブリックマネジメントレビュー』Vol.27、1〜7ページ。
The Long Tailホームページ http://www.longtail.com/
(早稲田大学大学院商学研究科 松本大吾)




KANKO! Home個人情報保護について
Copyright©2006 KANKO!Corporation | Terms of Use | Privacy Policy |